「NRF2024」参加レポート
NRF(National Retail Federationの略、全米小売業協会)が流通小売業における世界最大規模のイベント「NRF2024 Retail’s Big Show」を2024年1月14日〜16日にニューヨークにて開催しました。今回このイベントに参加してきたので、店舗DXに関する展示からトークセッションまでいくつかピックアップして参加レポートを公開いたします。
NRF2024とは
NRFが開催している世界最大級の小売関連のイベントで、今年は約3.95万人※が参加。このイベントは主に消費財、飲料など小売店に商品を提供しているメーカーと小売店に対するイベントとなっている。小売店を意識していることから、生活者寄りのセッションや出展企業が多く、小売店、メーカーともに米国のナショナルブランドを中心にセッションは展開されていた。
※下記より引用
https://nrfbigshow.nrf.com/about/2024-attendee-demographics
カート一体型レジ端末
カートとレジ端末が一体化。カートに商品を置くだけで、画像認証が働き購入商品が表示される。レジ端末にはクレジットカード決済機能も搭載されており、レジ前などを通ることなく購入までカートで出来るようになっている。また端末の液晶に「クーポン」「セール品」などの商品PRも可能。
光学センサーレジ端末
レジ端末にカートを置くだけで上部のセンサーと荷台の重量センサーが稼働し、購買商品を表示する仕組み。バーコードを読むことすらないので、気楽に使え、商品購入の手間を大きく減らすことが出来る。
セルフオーダーディスプレイ
ディスプレイ端末を使い、商品を購入。マクドナルドをはじめとしたファストフード店において、海外では既に導入されており、日本国内でも導入が進んでいる
生成AIを活用した商品検索/相談
スーパー等に行き「●●の商品はどこにあるか」と聞いたことは誰しも一度はあると思うが、そうした商品検索を「生成AI」を使い解答させている。また、「ハンバーグが食べたいけれど、何を買えばよい?」のような質問に対しても、自社のスーパー内で何を、どこで買えばよいか教えてくれる。
透過型ディスプレイを活用した販売用POP
透過型ディスプレイを商品棚の前に設置。お客さまに対して、陳列している商品の邪魔をすることなく、販促を行うことが出来る。更には、画像認証と組み合わせることで「表示」をひとりひとりに合わせてパーソナライズ化させることが可能。
画像認証によるアフィニティ分析
画像認証によってアフィニティ(性別、年齢)を自動分析。分析結果に合わせて、先述記載したディスプレイの表示内容が変わるように設定されている。
陳列棚のディスプレイ化
商品陳列棚をディスプレイ化することで「商品価格」もデジタル化されて表示される。また販促キャンペーンにも活用され、陳列されている商品の動画や、他の商品の販促動画が表示されるようになっている。
小売店とメーカーの取り組み〜BJ's Wholesale Club × M&M's(Mars)〜
BJ's Wholesale Clubは全米で242の会員型店舗を持つ大手小売店で、会員数は約700万人、売上高は約200億ドルを誇っている。BJ's Wholesale Clubの重要な目標として、消費者の「価値」が全てであり、その価値を提供できるよう、適切なパートナーシップ、適切な製品を適切な価格で提供できるよう確保することとしている。BJ's Wholesale Clubでは、購買履歴のデータを持っているが、分析は出来ていないという状態であった。
一方、M&M’sのメーカーであるMarsは広告などを使い、メーカーとしての立場で消費者意識を理解しているが、実購買者データを保有していないため、実態を理解をしていないという課題があった(供給量などから推測はしている)。そこで、単純に「クーポン」を配るのではなくBJ's Wholesale Clubの会員データをMarsと共に分析し、消費者が最も望む方法(商品パッケージ等)をBJ's Wholesale Clubの店舗で販売することで、消費者に「価値」を提供し続けることに成功している。
リテールメディアの広告費は2024年にはTVの地上波広告に迫る規模に
2027年には、リテールメディアの広告収益は1,000億円を超える。2024年には地上波広告に匹敵し、2025年には逆転。2027年には2023年の2倍の規模になり、約600億ドルが純増する予測がでている。
リテールメディアの実店舗広告がテレビを超えるメディアになる
実店舗で表示される広告は、大きな可能性を秘めており、ユニークユーザーで見ると既に全米の放送局のユーザーを各小売店は超えている。実店舗はWeb上の広告とは異なり、配信される場所が限定されるため、広告主のブランドイメージを守り、安全性を確保できる優良な広告枠であり、リーチ、認知、さらに商品との関連性という点においてテレビを大きく上回る可能性がある。