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2024/06/14

アメリカ小売業界で急成長するIbottaとは?メリットと成功事例を紹介

海外小売コラム

アメリカでは、消費者によるリワードアプリやキャッシュバックアプリの利用が増えており、その中で、特に注目を集めているのが「Ibotta(アイボッタ)」です。この記事では、Ibottaについて、使い方などの基本的な情報から、小売企業やメーカーに与えている影響についても解説していきます。



Ibotta(アイボッタ)とは

Ibottaアプリは、アメリカで約3,500万人以上のユーザーを擁しているキャッシュバックアプリです。ユーザーはIbottaを通じて日常の買い物でキャッシュバックを得ることができ、節約意識の高いファミリー層や若い世代を中心に幅広く支持されています。直接的なキャッシュバックを消費者へ提供することで購買意欲を引き出し、小売企業にとっても新たなマーケティングチャネルとして活用されています。

企業実績

Ibottaは2012年の設立以来、急成長を遂げています。2024年4月にIPOを行い、その時点での企業評価額は約10億ドルに達しました。2023年には年間売上高が3億2000万ドルを超え、黒字化も達成しています。さらに、Ibottaはエンタープライズ向けのリワードプログラムのソフトウェア提供にも力を入れており、Walmartなどの大手企業と連携しています。

Ibottaアプリの使い方

Ibottaアプリについて、ユーザーの利用方法は以下のようになっています。

  1. ダウンロードと登録

    ユーザーはIbottaアプリをスマートフォンにダウンロードし、無料のアカウントを作成します。

  2. オファーの選択

    アプリ内で提供されているキャッシュバックオファーを確認し、自分が購入予定の商品を選択します。オファーには食品、飲料、日用品などが含まれています。

  3. 購入

    選択した商品を提携店(スーパーマーケット、ドラッグストア、オンラインショップなど)で購入します。実店舗での購入の他、小売によっては、店頭受取注文などのBOPISも対象となっています。

  4. レシートの提出

    購入後、レシートの写真をアプリにアップロードします。一部の提携企業では、ロイヤルティプログラムなど小売ごとのアカウントの情報をIbottaと連携させることで、レシートのスキャンが不要になる自動連携機能も利用可能です。

  5. キャッシュバックの反映

    購入内容が確認されると、キャッシュバックがユーザーのIbottaアカウントに加算されます。

  6. キャッシュバックの受け取り

    一定額以上のキャッシュバックが貯まると、銀行振込やギフトカードなどで引き出すことができます。ギフトカードは、Walmart・Target・Krogerなどの各小売のギフトカードの他、ガソリンスタンドや飲食店など他業種など100件以上の選択肢があります。

Ibottaアプリのメリット

Ibottaが提供する価値は、消費者・小売企業・メーカーそれぞれにとって大きなメリットがあります。

  1. 消費者のメリット

    消費者であるユーザーにとって、Ibottaの最大の魅力は手軽にキャッシュバックを得られる点です。ユーザーはアプリをダウンロードし、参加店舗で買い物をする際にIbottaを利用するだけで、簡単にキャッシュバックを受け取ることができます。また、期間限定のボーナスオファーが提供されることがあり、一定数のオファーを達成することで追加のキャッシュバックを獲得できるなど、さらなる節約が可能です。

  2. 小売企業のメリット

    小売企業にとっては、Ibottaを通じて新規顧客の獲得や既存顧客のリテンション(再来店促進)が期待できます。Ibottaのデータ分析機能を活用することで、消費者の購買行動やトレンドを把握し、より効果的なマーケティング施策を展開することが可能です。また、ユーザーに還元されたキャッシュバックが自社のギフトカードへチャージされた場合、店舗で再利用されることも期待できます。

  3. メーカーのメリット

    Ibottaのプラットフォームを利用することで、メーカーは自社ブランドの商品を効率的にプロモーションでき、消費者の認知度を向上させることができます。特に、新商品の認知拡大や在庫処理に効果的です。また、Ibottaのデータ分析機能を活用することで、消費者の購買傾向を詳細に把握し、ターゲティング精度の高いマーケティング施策を実行できます。

クーポンとの違い

Ibottaアプリが、従来のクーポン施策に対して優れているのは以下の点です。

  1. 簡単な利用方法

    ユーザーは購入後にレシートをスキャンするだけでキャッシュバックを受け取れるため、クーポンをレジで提示するなどの手間が省けます。

  2. リアルタイムのデータ分析

    Ibottaはユーザーの購買データをリアルタイムで収集し分析するため、メーカーや小売業者は即時に消費者の購買行動を把握し、マーケティング戦略を柔軟に調整することができます。

  3. パーソナライズドオファー

    一部のデジタルクーポンでも実現可能ですが、Ibottaでもユーザーごとにパーソナライズされたオファーを提供することができます。これにより、企業はよりターゲットを絞った効果的なプロモーションを展開でき、消費者のエンゲージメントを高めることができます。

Ibottaのエンタープライズ向けソリューションとは

Ibottaは、エンタープライズ向けのリワードプログラムのソフトウェア提供でも成功しています。大規模な小売業者向けに、個別にカスタマイズされたリワードプログラムを提供しています。以下は主要な機能です。

  1. シームレスなアプリ統合

    導入企業のアプリに直接統合することが可能で、ユーザーは複数のアプリを使い分けたりすることなく、リワードを簡単に確認・管理することができます。これにより、顧客の獲得や定着をより強化することが可能です。

  2. カスタマイズ可能なリワードプログラム

    自社ブランドやプログラムに合わせた特典やキャッシュバックプログラムを設定できます。これにより、独自性を保ちながら顧客のエンゲージメントを高めることができます。

事例1:Walmart

世界最大の小売企業であるWalmartは、2018年からIbottaと連携を行なってきました。Walmartの自社アプリ・サイトにおいて、Ibottaのソリューション活用により、幅広いキャッシュバックリワードを提供しています。ユーザーは、リワード対象になっている商品を購入することで、購入金額の一部がWalmartでの買い物に使用できる現金「Walmart Cash」として付与されます。この取り組みにより、Walmartは顧客の購買意欲を高め、売上増加を実現しています。

 

事例2:Dollar General

アメリカの大手ディスカウントストアチェーンのDollar Generalも、Walmartと同様に自社アプリにIbottaのソリューションによるリワードプログラムを実装しており、「DG cash」というDollar Generalでの買い物に使用可能な現金として付与されるようになっています。Dollar Generalアプリでは、キャッシュバック対象の商品を一覧で確認できる機能があり、節約志向のユーザーへ良い買い物体験を提供しています。

 

まとめ

Ibottaは、消費者と小売企業、メーカーにとって大きなメリットを提供する革新的なキャッシュバックサービスを展開しています。中でも、小売の自社アプリ内でカスタマイズ可能なリワードプログラムの提供は、小売企業の顧客獲得やエンゲージメント向上に大きく寄与しています。このようなトレンドは、日本の流通小売業でも広まっていくかもしれません。

引用元

本記事で使用したアプリ内画像の引用元は下記の通りです。

「Ibotta: Save & Earn Cash Back」
https://apps.apple.com/us/app/ibotta-save-earn-cash-back/id559887125

「Walmart: Shopping & Savings」
https://apps.apple.com/us/app/walmart-shopping-savings/id338137227

「Dollar General」
https://apps.apple.com/us/app/dollar-general/id561311442

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